声優の世界にいる人で、勉強してる人とそうでない人の差は大きいです。でも今回は教科書を引っ張り出して勉強しろという内容ではありません。
人間、能力にはさほど違いがありません。でも、なにかを比べると差が出てしまう。

それはなぜか。

それは「違いを生み出す違い」があるからです。
ほんの少しの考え方・行動などのちょっとした違いが、大きな差を生み出す違いに繋がるのです。
そのため、今回は学んで欲しいこと②に【自己投資という考え方】を挙げたいと思います。

●宵越しの銭は持たない

「宵越しの銭は持たない」という言葉があります。これは日付をまたぐ頃には稼いだお金を使い切ってしまって残っていないという意味合いの言葉です。

昔の芸人さんの世界では取っ払いと言って、仕事をするとその場でお金が支払われていました。
今は請求書を送って銀行振り込みしてもらうが当たり前ですが、昔は現場でお金が払われてしまうので事務所のマネージャーがお金を受け取るために現場に行かなくてはならなかった、なんて話もありました。
芸人さんがもらったお金を少なく申告したり、使い切ってしまうためです。

この「宵越しの銭は持たない」という言葉は、もともとは江戸っ子の気の短さを表した言葉のようで、芸人さんの世界では意味合いが少し違いました。
稼いだお金を使いきってしまうのは変わらないんです。でも、何に使うか。

今はあまり聞かなくなりましたが、京都ではお座敷遊びというものがあります。
舞妓さんを呼んで盛大に遊ぶというものですが、東京浅草でも舞妓遊びはありました。この手の遊びというのは当然元手がかかります。

だから稼いだお金で普段できない経験をするためにお金を使っていた、これが昔の芸人さんたちのお金の使い方でした。お金がないと味わえない世界というものが実際にあります。

なぜこれが芸人としての粋と思われていたのか。
それは、自分の芸を高めるためです。

努力して芸を高める→お金を稼ぐ→稼いだお金は芸を高めるために使う

投資で稼いだお金を再投資するようなことを、昔の芸人さんたちはしていたんですね。
投資の世界でも、富を築くならば再投資せよというのは鉄板です。

●自己投資せよ

これを真似しろというのではありません。
でも、この考え方を日常に取り入れて欲しいのです。

これが自己投資という考え方です。

仲の良い友達と一緒に遊ぶのは楽しいですね。
遊びに行ったり、飲みに行ったり、カラオケしたり……。でも、その遊びだけではあなたの世界は広がらないんです。知らない世界を知る、未経験のなにかを体感する。これらはとても大事なことです。

知り合いのユダヤ人にかつて言われたことがあります。
「腕が取られても、足が取られても、国がなくなっても、君の知識は誰にも奪えない。だから、くだらない遊びなんかに時間を使うんじゃなくて図書館に行こう」

ユダヤ人が賢いということはいろいろな書籍でも書かれていることですが、そういう教えが徹底しているということからきているのかもしれませんね。

逆に日本人はというと、
「そんなふうに使えるお金はないよ」
よく言われる言葉です。
だったら、使えるお金に合わせて未経験を体感すれば良いだけです。

いつも行くチェーン店の喫茶店、300円前後で飲めるコーヒーを、ホテルのラウンジで飲んでみる。1000円前後だと思いますが、高い安いではなく、どんな人たちがそのホテルのラウンジに集まるのか。どんな格好でどんな話をしているのか。これは実際に行ってみないとわからないことです。

実際、新宿のあるホテルのラウンジで打ち合わせをしようとしたら、隣で社長と税理士らしき人がいたことがあります。「社長、脱税はもうこれ以上は、さすがに難しいですよ」と。

また別の喫茶店では、工務店のおじさんらしき格好の二人が話をしていました。「銀座の土地が400平米まとまって売りに出されるので、7億都合してもらえないか。自己資金17億では手に入れられるか不安だからどうだろう」みたいな、ぶっとんだ話をしていました。
こういっちゃなんですが、どう見ても中小企業の工務店のおっさんです。でも、お金持ちなんでしょうね、きっと。そこで気づくわけです。
「お金持ちはお金持ちだとわかる格好をしていない」んだなと。
言われてみたらそうですよね。いかにもお金を持っていますという格好は、泥棒に自分はカモですとアピールしていることと変わらないわけですから。

喫茶店というのは不思議な空間です。
日常では秘密にしておきたいことや、公に言えないことも丸裸にされてしまう。
その空間が秘匿性の高い場所であればもちろんのこと、少しコーヒー代を出すだけで非日常な体験ができることもあるわけです。
このことから、時にはちょっと上等な服を来て、ちょっと高い喫茶店に出入りしていたら、普段体験できない話題を仕入れることができることを学べました。

本を買って読むでもかまいません。

ワークショップに参加する。ボイトレに行ってみる。
これらはみんな短絡的に自己投資として考えますが、どんな人が講師なのかによって、どんな内容なのかによって、自己投資にも自己満足にもなり得ます。

●言葉は不自由なものである

現代はインターネットでさまざまな情報を知ることができます。
でも、それはあくまでも大脳皮質にとどまるただの情報でしかありません。つまり、これが知識というものですが、知識には落とし穴があります。
それは、ただ知っているだけである、ということ
です。

知ることと感じることは別ものです。
見て、聞いて、触れて、味わって、言葉にする。五感を存分に使う。これは些細なことのように感じるかもしれませんが、とても大事なことです。

体感したことは正確な言葉にして伝えることはできません。
本質は言葉で表せないのです。

つまり、言葉は不自由なものです。
でも体感を通して、感じたその気持ちはあなただけが得られたものです。その気持ちを表現できるのは、あなただけです。

知識ではなく、体験にする。
体験を自分の中に落とし込む。
落とし込んだものをほかに活かせないか考える。
自己投資という考え方が大事なのは、自分自身だけがその感覚を理解しているということです。

普段なにげなく使っているお金を少しだけ考えて、使い方を変える、使い道を変える。
普段の生活では体験できないことを体験してみる。

期間限定の美術館に行ってみるでも良いんです。
普段歩いている道を、普段通らない道に変えて、違う光景を見てみるでも良い。

その経験は、その時その瞬間にしてかできないものです。
インターネットで得られる情報とは全くの別ものです。
なぜなら、その経験をした時の感情はあなただけのものだからです。

●違いを生み出す「違い」はなにか

未経験を体験することは、感情を揺さぶります。センスを磨くことにも繋がります。
思考にも影響を与えます。感受性を豊かにすることにも繋がります。

「違いを生み出す違いは何か」

こんな些細なことでも経験をしているかどうかは、いずれ大きな差を生み出します。芝居の世界ではなおのこと、大きな差になります。

この発想はビジネスの世界ではとても大事な考え方です。生きていくうえでもとても重要な考え方だと思います。他者を見て、羨んだり妬んだりする感情は生きていくうえでつきものです。
でも、この発想を持っていると、
「自分に足りないものはなにか、補うためにできることはなにか」
など、自分をより良くするためのヒントが見えてきます。漠然と日々を過ごすのではなく、その瞬間瞬間に意味をもたせることができたら、それはとても素敵なことだと思いませんか。

自ら考え、意識して、「違いを生み出す違い」を知る努力が必要です。未経験を経験する努力をする。未経験を意識的に経験に変える。漠然と過ごす日々ではなく、意識的に日々を過ごす。このことはいずれあなたの大きな力になる日が来ます。

声優・ナレーターを志すあなたには、「違いを生み出す違いはなにか」を考えて行動して、体感してもらいたいと思います。なぜなら表現とは、日常に根付くものから出てくるものだからです。
自分だけの狭い世界で生きて、新たな表現が出てくるものでしょうか。
表現者であろうとするならば、一つでも未経験を経験に変える努力、その意識を大事にしてほしいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。