声優になりたい、興味がある……でもどんな仕事なんだろう?

声優業とは、主に声を使って表現することを仕事にしている職業です。近年の声優人気などもあって、ずいぶんと馴染みのある職業となりました。
ここではそんな声優業についてなるべくわかりやすく書きたいと思います。

まず知っておきたいのが、声優とナレーターは違うのかどうか、です。
アニメ・吹き替え・ゲームの仕事をするときには、「声優」として、ナレーションを必要とする仕事のときは「ナレーター」と使い分けています。ずいぶんざっくりとした分け方です。
そのため仕事内容で名称を使い分けているだけで、「〇〇さんは声優であってナレーターではない」という言い方は少し誤解が生まれます。

単純にナレーションの仕事をしているときには「ナレーター」と使い分けているだけですから。
アニメ声優という言葉は、アニメの場合にはナレーターではなく声優という言葉で使い分けているだけです。
業界内での呼び名としては、声優・ナレーターのほかに、「役者」という呼び名も一般的です。役者という呼び名にプライドを持っている方も当然います。吹替の現場では「役者」として扱われることのほうが多い印象です。アニメやゲームの現場では「声優」と呼ばれることのほうがほとんどです。

いわゆる声優業と呼ばれるものにはどんな仕事があるのかみていきます。

●声優にはどんな仕事があるの?

・アニメ
・ゲーム
・吹き替え(外画)
・番組ナレーション
・CMナレーション
・VP
・店内放送
・その他
大きくわけるとこんな感じだと思います。
それぞれ特徴がありますので、説明していきたいと思います。

一つずつ説明していきましょう。

  • アニメ
    おそらく声優に興味を持ったり、声優になりたいと思う方の多くはアニメ声優に憧れてというものが多いと思います。アニメでのキャラクターを演じるものですね。
    アニメの仕事は業界内でランク制度というものがあって、金額が決められています。配役次第ではゲームやイベント、歌唱などの仕事につながることもあります。ヒット作に巡り合えれば、人気声優の仲間入りになれるという意味では、お金よりも夢のある仕事と考えます。
  • ゲーム
    最近のゲームはほぼほぼ音声が入っています。その音声を入れるのが仕事です。ゲームの場合は金額がピンキリで、人気のある声優になるとその分金額は上がります。ゲームの場合はプログラム上のファイルごとに、ワード数という言葉を使います。
    例として1ワードが「えいっ!」の場合もあれば、
    「私は君を助けに来た。長居はできない。すぐに脱出するんだ」
    が1ワードの場合もあります。
    これはゲーム会社がプログラムを組む上でのファイルを、1つにするか2つにするか、でワード数に文章量はさほど関係ない、というのが認識です。中国系ゲームでは1ワードが長い傾向にあると言われています。
  • 吹き替え(外画)
    海外作品の吹き替えを外画(がいが)と呼びます。
    声優という区分けではありますが、出演者は「役者」という認識がほとんどです。アニメと外画は同じ芝居という意味では大差ないように感じるかもしれませんが、アニメーションに声を当てるのと、実際に海外の俳優が芝居をしているものに声を当てるのでは、その表現や求められる技術に大きな違いが生まれます。
    シンプソンズのような海外アニメの場合も、外画アニメと表現したりしますが、区分けとしては外画扱いです。2023年にハリウッドで大規模かつ半年以上の長期間に及ぶストライキが起きた影響で、2024年の新作の本数が大幅減少していました。
    外画は海外作品の吹替になりますので、海外での情勢などで本数に影響があることがストライキで明らかになりました。
    業界内ではNetflixでの吹替作品が今後は縮小するのではないかという噂が流れていますが、真偽の程は時間が証明することになるでしょう。
  • 番組ナレーション
    番組ナレーションは、テレビ番組などのナレーションを言います。
    番組にも種類がありますね。報道・バラエティ・ドキュメンタリーなど、番組の数だけ仕事があるわけですが、一部のナレーターがいくつもの番組を掛け持ちしているということは普通にあります。
    ただし、番組ナレーションでは、同じ放送時間帯に他局で同じナレーターを使わないような配慮や、他局との報道番組の掛け持ちは基本しないような暗黙のルールがあります。「裏被り」「裏番」なんて言葉で表現されたりします。
    近年、テレビでの視聴率が軒並み下がっていることもあり、予算は年々縮小しています。そのためナレーター料金も下がってきています。
  • CMナレーション
    CMには種類があります。大きく分けると、テレビCM、ラジオCM、インターネット普及に伴い、web上でのナレーションもCMと区分する場合もあり、最近ではSpotifyやTverなどのCMもこの分類に入れたりします。
    デパートの専門店のある化粧品売り場などで既存のTVCMをミニモニターなどで放映しているのを見たことがあると思います。厳密には店頭用という分類になるものではありますが、CMナレーションの転用も近年は多いです。自社サイト内やYoutubeで流されているものを店頭で流すことも増えていますので、CMといえば基本的には「テレビ」「ラジオ」「YoutubeやSNSなどのWeb」のどれかという分類で考えます。
    逆にメイクの仕方などの説明動画は次のVPに分類されたりします。
  • VP
    ビデオパッケージの略かビデオプロモーションの略か定かではありませんが、インターネット普及前には企業の広報ビデオなどは、すべてVPとして扱っていました。
    新卒採用イベントの会場で流す会社紹介などですが、インターネットの普及で企業は当たり前のように自社ホームページを持っています。
    そのため自社ホームページ内に掲載するものをweb用と言うことも増えており、ある意味では昔の名残として使われている分類用語の一つ、と言っても良いと思います。上場企業の株主総会内で、パワーポイントを使用した業績発表などの収録もあり、それもここに分類することがあります。
  • 店内放送
    コンビニや家電量販店、さまざまな店舗内で放送されている音声があります。これも仕事のひとつとしてあります。店頭用とは一応分けて考えられています。
  • その他
    朗読コンテンツやオーディオブックなど、声の仕事として分類しづらいすべてのものをとりあえずその他としました。
    Youtubeの飛ばせない6秒の広告をバンパー広告と言ったりしますが、CMナレーションという分類にはあまりしていないような気がしています。

    プレゼンという仕事もあります。
    企業は広告代理店の持つTVCMの放送時間枠を使うのですが、そこで流すCMの内容について、いくつもの提案の中から良いアイディアを募りたいときには、制作会社数社に企画案を出してもらい、そのコンテをもとに紙芝居のようなカットを繋ぎ合わせた動画を作ります。
    そこに声を入れるお仕事です。CMが決まった場合に起用する予定の俳優やお笑い芸人などの役を演じたりして、企業にイメージを伝えるための仕事で、プレゼンやVコン(ビデオコンテの略)などという名称で呼んだりします。

    また寿(ことぶき)ビデオといって、結婚式内で流すナレーションの仕事も景気の良かった時代にはたくさんありました。最近では決算に計上する場合に問題視されてしまうことや、景気が良くないことも相まってほとんどなくなったと思われます。結婚式自体にあまりお金をかけなくなった時代背景もありそうですね。

以上で分類についての説明を終わりとします。
大まかな分類をして説明しましたが、分類は後付けだと考えて良いと思います。
使用媒体、使用用途や使用範囲という言葉で、
「TV、web、YoutubeやSNS、自社ホームページを含む」
というように媒体をはっきりさせた形で仕事の発注を受けるので、それがどのような仕事に分類できるのかという部分では、あまり厳密ではなく曖昧なままです。そもそも明確に区分けできるものではないですからね。

声優業にはどんな仕事があるのか、なんとなくわかりましたか?
意識してみると、ありとあらゆるところに声優の仕事が潜んでいます。近年、AI技術の発展が目覚ましく、将来的に仕事がなくなるのではないか、と予測する向きもありますが、個人的には一時的に仕事が減ることはあってもさほど影響はないのではないかと考えています。
それは、「人の心を動かすのは、人の言葉と想いだから」と考えるからです。

AIにはまだ感情というものが存在していない(と思う)ので、「正確に情報を伝える必要のある仕事」というものはなくなるかもしれません。
いわば、アナウンサーのような「感情ではなく情報を伝える仕事」ではコストの関係で仕事自体がAIにとって代わり、なくなる可能性はあると思います。しかし、ナレーターというのは、アナウンサーとは違うのです。
それについてはまた別の機会に説明したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。