今回のテーマは、仕事を増やすためにはどうしたらよいかについて語ります。
仕事を増やす、つまりビジネスを大きく成長させるには考え方とやり方があります。
それがマーケティングというものです。
このマーケティング、わかりやすく言えば「売るための仕組み」と思ってもらえれば良いと思います。
ここでは、マーケティングという考え方をもとに「仕事を増やすための方法」について書いて行きたいと思います。

●そもそもビジネスとはなにか
ビジネスを大きく成長させるために必要な考え方として、ビジネスとはなにかと考えてみたいと思います。
そもそもビジネスの本質とはなにか。
ビジネスとは、価値同士の交換である。
必要なものを、相応の対価で交換することで成立しています。
このことは、【仕事とはなにか】で触れています。
あなたは、自らの価値を高め、必要とされなければなりません。
もちろん、必要とされるためにはあなたの価値を示すことが大事です。
価値を示すとは、事務所にとって、マネージャーにとって、取引先にとって、あなたが「使える」タレントであるということを認めてもらうことでもあります。
インスタやXのフォロワー数もひとつの判断材料になりますし、あなたのキャリアも価値判断の基準になりえます。
外見や人柄、性格といった人間性による「可愛い」や「かっこいい」「愛嬌がある」とか、「安心して仕事を任せられる」など、そういったものも価値のひとつです。
つまり、あなたは「あなたの価値を提示」し、「知ってもらうことが大事」になりますし、「仕事としてそれを証明し続けること」が必要になります。
●仕事の発注・依頼の実際
と、難しいことを書いてきましたが、声の仕事においてよくあることは、
「このスケジュール、この条件、この金額で、このイメージの声がほしい」
という要望に対して、
「この数名がその条件に当てはまりますので、イメージに合うタレントを選んでください」
と提示して、選ばれたタレントが仕事の機会を得る。それが実情です。
つまり、価値を提示したり、知ってもらうことなどは本当はすごく大事で、この視点を持っていれば将来的に大きな差ができることではあるものの、そんなこと考えなくても仕事にはなる、というのが普通にあります。
むしろ、マーケティングといった視点でタレントを見ているマネージャーのほうが少ないとさえ思えます。それくらい、勉強していない人が多い業界だと思っています。
だからこそ、マーケティングという視点を取り入れてほしいと考えます。
なぜなら、その視点で仕事をビジネスとしてとらえ、行動できたら、その分だけ抜きん出ることができるからです。
実力だけで勝負することは否定しませんし、それが本来のあり方なのかもしれません。
でも、実力があることと売れることは必ずしも相関関係にあるわけではありません。
実力は必要ですが、実力だけが必要なわけではないのです。
優秀な商品だけがバカ売れしているわけではないことは、いくらでも例があります。
ここで知っておいてもらいたいことは、
・細かいことなんて知らなくてもなんとかなる
・なんとかなるだけに、みんな「なんとなく」でしか動いていない
・だからこそマーケティングを取り入れたら、抜きん出ることができる
それを伝えたいだけです。
●なにをしたらよいかで自己嫌悪におちいる
あなたはチャンスが欲しい。
仕事がしたい。
仕事を増やしたい。
お金を稼ぎたい。
だから、あなたは考えます。
・うまく読めないとダメだ
・読み間違いが少ないほうがいい
・良い声を持っていることは大事
・芝居がうまくなる必要がある
ほかに出てくる言葉はありますか?
・基礎が出来ている必要がある
・名前が売れなければならない
・ギャラを安くしたらチャンスが増えるのでは……
・気に入られるためにはなにをしたらよいのか
まだ何か出てくるでしょうか?
だいたいは、こんなことを考えて、堂々巡りになります。
そして、自分の今までの取り組み方を反省し、後悔し、自分を責めたり、自信をなくしたり、自己嫌悪におちいる。
これは考え方を間違えています。
これを解決する考え方が、マーケティングともいえます。
●大事なことは3つしかない
大事なことは3つのことに集約されます。
すべてはこれから話す3つを基準に考えればよいのです。
ビジネスをうまく回していくために必要なことは次の3つです。
・取引先の数を増やすこと
・取引先あたりの回数を増やすこと
・単価を上げること
ひとつずつ説明していきましょう。
・取引先の数
これは年間の取引先が1社と100社ではどちらが良いでしょうか。
言わずもがな、ですね。
取引先は多ければ多いほど良いです。つまり、ビジネスに必要な要素として、「取引先の数」が重要な要素になります。
・取引先あたりの回数
これは1社あたり何回の取引があるかです。
また1社の中の担当者数からそれぞれ何回のリピートがもらえるかも重要です。
ある会社の担当者は1名のみでしょうか。普通は何人かいたりして、
その人たち全員から仕事がもらえるのと、だれか1名のみでは大きく変わります。
つまり、
・1社から何回仕事がもらえるのか
・社内の担当者の何人から何回仕事がもらえるか
が大事だということになります。
この視点が必要になります。
そしてほかにも例として、あるメーカーの話をしましょう。
A社は洗剤でヒット商品があると仮定します。
データによって、400円の液体洗剤は60回分の洗濯ができるとします。
1日1回洗濯をするとして、60回だと2か月です。
2か月ごとに400円で売れるとすると、年間で6回、2400円の売り上げです。
ではこれを増やすためにどうしたら良いのでしょうか。
A社は考えました。
1回あたりの洗剤の必要量が減る新商品を出そう。
1回あたりの必要量が減るということは、それだけ高い洗浄効果があるということだ。
だから値段は、上げられる……でも、値段をむしろ下げます!
そこでこの会社は値段を下げました。350円です。
なんて素晴らしい試みでしょう。これならただでさえ売れている商品なのに、
さらに大ヒット間違いなしです。
でも、2か月で消費する分量が50円下げたことで50日になりました。
なんとなく目分量で洗濯をしている消費者にとって、記憶に残るのは高い洗浄力により必要量が減っているということであって、総回数が減っていることに気づく人は少ない。
そのような結論が統計データから導き出されたとのことでした。
1回の購入で50日分ということは、年間にすると7回購入では足りません。
8回購入して年間の洗濯ができるということになります。
350円×8回=2800円。
50円下げることで売り上げは結局上がるんですね。
売り上げを上げる仕組みではありますが、回数が増えたらそれだけ売り上げは上がります。
だから「取引先あたりの回数」というのは大事なことなんですね。
・単価
これは高いほうが良いに決まっています。
でも取引先当たりの回数で書いたように、あえて安くすることで回転数を上げるという考え方もできるので、高いほうが良いけれど高すぎてはいけません。
日給2万円の仕事があるけど月に4回しかないのと、日給10000円だけど週3回仕事があるなら安いほうが良い場合もあります。
そういった計算をするには「取引先の数」と「取引先当たりの回数」があって、はじめて単価をどうするのかを考えられるようになります。
古くは小泉今日子、その次は藤原紀香、今は誰でしたか。CM女王と言われたタレントです。
具体的な金額は伏せますが、イメージの良いタレントがCM出演料をほかのタレントの半分にすることで、年間20~30本とかのCM出演を果たすという結果になりました。
だから単価は高いほうが良いのは基本ですが、戦略的に価格を決めていくことが必要になります。
価格はタレントが決められるものではありません。
でも、あなたが「1万円程度の仕事しかできない」のか、「3万円程度は出してあげたい」かを決めるのは、マネージャーです。
マネージャーの中には、価格についての厳格なルールはたいていありません。
先に書いたような「条件にはまるかどうか」や、「頑張っているから応援したい」とか「新人だから」など、相対的な部分が大半を占めています。
「相対的である」ということは、言い方を変えれば「ある程度コントロールできる」とも考えられます。
あなたがマネージャーに対して、「どんな意識をもって、なにを、どのように頑張っているのか。それに対してどんな成果や結果がでているのか」といった情報や、「興味のあること、楽しんでいること」などの情報を与えるコミュニケーションを取ることで、相対的な感情を言う部分に影響を与えることもできたりします。
つまり、あなたに価格決定権はなくても、価格を上げるための行動や働きかけはできるとも言えます。
ここまで書いた3つの要素がビジネスをうまく回すために必要な考え方です。
その要素の中で、その要素をよりうまく回すために必要になるかもしれない部分になるのが上に並べたいくつかのことになるわけです。
●3つに集約される
3つに集約されるとはどういうことか。
・うまく読めないとダメだ
・読み間違いが少ないほうがいい
・良い声を持っていることは大事
・芝居がうまくなる必要がある
・基礎が出来ている必要がある
・名前が売れなければならない
・ギャラを安くしたらチャンスが増えるのでは……
・気に入られるためにはなにをしたらよいのか
上のほうに書いていたこれらすべてが、
・取引先の数を増やすこと
・取引先あたりの回数を増やすこと
・単価を上げること
のどこに関係するのか、という考え方をしなければいけません。
それぞれが3つのどこか、または複数に関係することとして紐づけるのです。
たとえば「うまく読めること」は「読み間違いをなくすこと」や「かつぜつを良くすること」、「文章読解力を上げること」というように具体的なものに分解して考えます。
そのうえで、それぞれが「取引先の数を増やすため」なのか、「取引先あたりの回数を増やすこと」につながるのか、それとも「単価を上げるため」のどこに関係するものなのか。
このようにして考えると、
「なんのためにやる必要があるのか」
が見えてきます。
必要性と意義が見えてきたら、向き合い方が変わりますね。
●ビジネスは掛け算
ビジネスは掛け算、と言われます。
つまり、「取引先の数」×「取引先当たりの回数」×「単価」がビジネスをするために考えるべき必要条件になるということです。
ここで、数字として考えてみます。
計算を簡単にするために、すべてに10という数字を当てはめます。
取引先10社×取引先当たりの回数を10回×単価10円=1000
これが仮に昨年の数字だとします。
では今年の目標として、それぞれ3割ずつ頑張ってみることはできそうでしょうか?
・取引先を10社から13社に増やす努力
・取引先当たりの回数を10回から13回にする努力
・単価を10円から13円にする努力
こうして考えてみると、頑張れそうな気はしませんか?
では、今年の目標それぞれ3割ずつ頑張るとどうなるのか。
1.3×1.3×1.3=2.197
取引先13社×取引先当たりの回数を13回×単価13円=2197
これはどういうことかというと、それぞれ3割アップができたら売り上げは2.197倍になるということです。
これを2割ずつにしたとしても、12×12×12=1728
つまり1.728倍になるということです。
このように考えて、3つの要素をより満たすために必要なことはなにか。その部分をどのようにして満たしていくか、そのような思考でやるべきことを見定めて努力をすることが大事だと思います。
それが結果的にビジネスを大きく成長させることにつながります。
数字のマジックのように思えますが、ビジネスは掛け算だと言われてきています。
掛け算たる根拠があるということなのでしょう。
それが本当かどうかよりも、こういう考え方であなたの売上に良い変化が出るのであれば、「そういうもの」として良い意味で取り入れていけばよいと思います。
今回はマーケティングのいったんに触れてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。